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泌尿器日常診療まとめ・日々のted

尿路上皮癌pT1の診断をめぐって

膀胱癌pT1の診断がついたらどうします?
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膀胱癌、深達度T1。
この診断がついた時、僕ら泌尿器科医は迷います。
すぐにsecond TURをして、取り残しをやっつけAND詳細な深達度評価をするか。
このまま経過観察とするか。
high gradeでCIS成分があり、巨大な腫瘍だったら人によっては膀胱全摘するかもしれません。
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T1の診断がついた時、僕ならどうするか。答えは『病理に聞きに行く』です。
T1、即ち間質浸潤ありとはいえ程度により差があります。間質にごく少量が入っているのか、それともガッツリと入っているか。病理医が血眼になってやっと認識できる程度か、それとも簡単に浸潤が見つかるものか。泌尿器科に詳しい病理医であれば詳細に浸潤の程度を記してくれるかもしれませんが、大抵の場合は期待できません。なぜならば、多くの病理医はT1が膀胱癌治療方針の分かれ道になるこのとを知らないから(泌尿器科医が知らせていない、とも言える)です。
なので泌尿器科医の皆様、尿路上皮癌pT1の診断が出たら病理に確認しましょう。無駄なsecondTURを回避したり、膀胱全摘のタイミングの遅延を防げたりするかもしれません。また、病理に行った際にはpT1の診断の意味を病理医に伝えましょう。
参考
T1G3症例を浸潤の程度でT1a、T1b、T1cに分けたstudy