TUR-Btの正しい病理診断依頼書
TUR-Bt材料の正しい病理診断依頼書
TUR-Btを病理に出して欲しい情報が手に入らないことありますよね。
T2以上を疑ったのに筋層の所見が無い、とか。
尿細胞診classⅤだからランダムバイオプシーやったのに、上皮が無いって言われちゃったり。
今日の内容は、泌尿器科と病理の溝を埋める工夫です。
1. 良い状態の材料を分けて出そう
基本的にTUR-Btは、腫瘍を焼灼しなからザクザク切除してます。そのため大半の材料は、
表面がコゲコゲ。そんな材料をさらにホルマリン漬けにしてから病理に届きます。
病理医は提出された材料を肉眼で確認して、診断材料として適当な部位を中心に
診断します。しかし上述した通り、TUR-Bt材料の殆どは状態が悪く、どっちが粘膜なのかも分からないことも多いそうです。そこで、僕はTUR-Bt材料を提出する際に、
たくさんの切除片の中から、焦げてない粘膜の保たれてそうな物を選別して
別の容器でだしています。状態が良ければ粘膜の層構造も見えるそうなので、
間質や筋層への浸潤の有無をきっちり診断してもらえます。
2. 膀胱のランダムバイオプシー材料は、濾紙に貼って提出。
僕ら泌尿器科医がバイオプシーした直後、材料は膜状で平べったいですが、
ホルマリンに入れて病理にとどく頃には丸まって、ぐちゃぐちゃです。これでは上皮が出てこないため、CISの診断には耐えません。
そこで濾紙に貼るようにしています。形がきれいにでるのでgoodです。
3. 腫瘍の形態を書こう。
膀胱鏡で見て結節型、stageも進んでいそうなものは顕微鏡で見ると、
構造も乱れている上に細胞の顔つきも悪いのでpapillary urothelial carcinomaとするかCISとするか診断が難しいそうです 。papillaryにするか、CISにするかは、臨床所見も
大事なので、腫瘍の形態はなるべく書いています。
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1~3を踏まえた病理診断依頼書の例です。
例: 15mm大、広基性結節型腫瘍、単発。cT2N0M0。TUR-Btしました。焼灼変性の少ないものが「検体①」、その他が「検体②」です。
また尿細胞診class Ⅴにてランダムバイオプシーしました。
三角部、右側壁、左側壁、頂部、前壁、後壁、前立腺部尿道から、いずれも平坦な粘膜です。肉眼的には前壁にCISの存在を疑っています。